2008.09.09
トンネル。水戸戦
9月7日(日) 2008 J2リーグ戦 第34節
熊本 0 - 2 水戸 (18:03/熊本/3,950人)
得点者:52' 平松大志(水戸)、83' 荒田智之(水戸)
いいところを挙げるとすれば、前半をスコアレスで凌ぎ切ったこと。後半途中の4−4−2にしてからボールを持てるようになったこと。福王の攻め上がりから1対1の好機を作ったこと・・・。ぐらいでしょうか。その何倍以上も首を傾げたくなるようなイージーミスがあり、自らリズムを崩しているように見えました。
前節熊本は甲府に、水戸は広島に、共に大敗し、この一戦に賭ける両者の気持ちは同じものだったはずです。「悪い流れを断ち切りたい」。その一心。
山本、宮崎を累積で欠く熊本は、4−1−4−1のアンカーに小森田、前に喜名、吉井を配置しました。戦前、リトリートしすぎた前節を反省し、前目でアタックしていこうという戦術が見て取れましたが、実際フタを開けてみるとこれが全く機能しない。
怪我から復帰した西野が荒田と2トップを組み、右には赤星、左には堀を置く水戸の布陣に、最終ライン前やサイドのスペースを完全に制圧されてしまいます。
しかも、パク・チュホ、村松という両ボランチの出足も早く、セカンドボールも相手の懐に収まるばかり。本来、4−1−4−1といっても中盤は流動的なトライアングルになるのが“はまった”ときのうちの理想的な形だと思うのですが、この日は実にキレイにみんな並んでしまい、小森田一人に負担がかかりすぎていました。まるで中盤に“フタ”が被さっているようなもどかしさ。前目でアタックしたいという意図はわかりますが、運動量の差で後手にまわり、結局相手に前目で勝負されたという感じです。
ちょっと今節、スカウティング不足といわれても仕方がないような・・・。
「集中力」を繋ぐチームの神経細胞が、“途切れ途切れ”のような雰囲気を感じさせるなか、水戸もまた同じようなミスを重ねてくれたことで嫌な時間帯のピンチをなんとか脱し、重苦しいほど不安になるような、落ち着かない前半がようやく終了しました。
唯一許された“修正”の時間。ハーフタイムに池谷監督は「気持ちを出せ!」と檄を飛ばしたようです。しかしそれも、同じく前半の戦いを不満に思う敵将・木山監督と水戸イレブンの修正力には及びませんでした。
大勢が変わらないまま後半7分、セットプレーから失点。ようやく熊本ベンチは、矢野と斉藤を投入し、チャを一列前に。これで少しは押し返したのですが、同点弾には至らず。続く町田の投入にもチャンスはなく、逆に38分には荒田の追加点を許してしまいました。
この日、改めて明らかになったのは、チャのSB起用は厳しいこと。木島と両方使いたいからでしょうが、フィジカルもテクニックもある赤星に易々とサイドを支配されていました。逆にチャの持ち味である“突破力”は、もっと前目で活かしたい。
台所事情はありますが中盤、小森田と喜名の併用も苦しい。翌朝の熊日朝刊の選手コメント。反省の弁もあれば、ちょっと首を傾げたくなる選手もいて…。
ひょっとしたら“彼”が理想としているサッカーと、今熊本がやろうとしているサッカーは少し違ってきているのかも知れない…。
JFLで格下相手にポゼッションを維持するのならともかく、今、非常に強いプレスのもとで、攻守の切り替えが早いこのリーグ(J1ならなおのこと)で、活かされるプレースタイルなのか。熊本の戦術変化(といってもそれは上を目指すための進歩ですが…)の前に、自らが活かされる道があるのか。
鳥栖の松本育夫氏が2年目、選手を大幅に入れ替え、あえて若手の無名選手を揃えたのも、そういうことだったのかも知れないな、と今思います。
それはある意味、個人のテクニックやフィジカルといった“能力”の問題ではありません。しかし、ここで求められるプレースタイルと言うもの、それは個々のチームの戦術、戦略以前に“J標準”とでも表現すべきような恐ろしく“速い”サッカーの枠組みにフィットできるかどうかという意味での“基本技能”なのかもしれません…。
誰か一人の傑出した才能に依存するサッカーではなく、誰かがタクトを振るサッカーでもなく、全員がチーム戦術の下に組織化され流動化するサッカー。いつしか、厳しいプレスと、全員守備、全員攻撃の流れのなかで、“トップ下”という特別な役割がなくなってしまったことはその象徴例でしょう。
熊本の得点源はまぎれもなく高橋ですが、彼は自身の活かされ方を知っている。だからプレーがとてもシンプル。厳しいプレスのなかで周りを使い、活かす。だからチャンスが訪れる。でも、周りはまだまだ、十分に彼のプレーのリズム、判断のスピードに合ってない。もっと点がとれる。そう思うのです。
いやはや、連続した受け入れがたい残念な結果に、少しネガティブになってしまいました。KKウィングに吹く風も秋の気配を感じ、無我夢中のJ2初年度も終盤戦を迎えます。この時期、来シーズンのために何を成すべきか、何を試すべきか、というこの第3クールで自然とそんな目線になってしまいました。
チームとして、常に“脱皮”が求められ、一戦一戦が“試される”。
水戸はこの勝利でJリーグ100勝目を達成。10年目で100勝ですから、1年で平均10勝ということです。
熊本が目指しているのはもちろん水戸ではなく、より上にあるわけですが、少なくともその刻んだ歴史と積んだ経験だけは追いつけない。勝率より何より、100勝達成にはそんな重みが感じられました。
敗戦に気持ちは落ち込みます。このトンネルは長くはないことを願いますが、今日のゲーム、誰の目にもはっきりと見えたものがあるはずです。現実を受け止め、もっと先を考えながら走ることが大事だなと痛感しました。
熊本 0 - 2 水戸 (18:03/熊本/3,950人)
得点者:52' 平松大志(水戸)、83' 荒田智之(水戸)
いいところを挙げるとすれば、前半をスコアレスで凌ぎ切ったこと。後半途中の4−4−2にしてからボールを持てるようになったこと。福王の攻め上がりから1対1の好機を作ったこと・・・。ぐらいでしょうか。その何倍以上も首を傾げたくなるようなイージーミスがあり、自らリズムを崩しているように見えました。
水戸 (先発フォーメーション)
| 9荒田 | 19西野 | ||
| 6堀 | 18赤星 | ||
| 16パクチュホ | 7村松 | ||
| 30中村 | 26ビジュ | ||
| 21星野 | 3平松 | ||
| 1本間 | |||
山本、宮崎を累積で欠く熊本は、4−1−4−1のアンカーに小森田、前に喜名、吉井を配置しました。戦前、リトリートしすぎた前節を反省し、前目でアタックしていこうという戦術が見て取れましたが、実際フタを開けてみるとこれが全く機能しない。
怪我から復帰した西野が荒田と2トップを組み、右には赤星、左には堀を置く水戸の布陣に、最終ライン前やサイドのスペースを完全に制圧されてしまいます。
しかも、パク・チュホ、村松という両ボランチの出足も早く、セカンドボールも相手の懐に収まるばかり。本来、4−1−4−1といっても中盤は流動的なトライアングルになるのが“はまった”ときのうちの理想的な形だと思うのですが、この日は実にキレイにみんな並んでしまい、小森田一人に負担がかかりすぎていました。まるで中盤に“フタ”が被さっているようなもどかしさ。前目でアタックしたいという意図はわかりますが、運動量の差で後手にまわり、結局相手に前目で勝負されたという感じです。
ちょっと今節、スカウティング不足といわれても仕方がないような・・・。
「集中力」を繋ぐチームの神経細胞が、“途切れ途切れ”のような雰囲気を感じさせるなか、水戸もまた同じようなミスを重ねてくれたことで嫌な時間帯のピンチをなんとか脱し、重苦しいほど不安になるような、落ち着かない前半がようやく終了しました。
唯一許された“修正”の時間。ハーフタイムに池谷監督は「気持ちを出せ!」と檄を飛ばしたようです。しかしそれも、同じく前半の戦いを不満に思う敵将・木山監督と水戸イレブンの修正力には及びませんでした。
大勢が変わらないまま後半7分、セットプレーから失点。ようやく熊本ベンチは、矢野と斉藤を投入し、チャを一列前に。これで少しは押し返したのですが、同点弾には至らず。続く町田の投入にもチャンスはなく、逆に38分には荒田の追加点を許してしまいました。
この日、改めて明らかになったのは、チャのSB起用は厳しいこと。木島と両方使いたいからでしょうが、フィジカルもテクニックもある赤星に易々とサイドを支配されていました。逆にチャの持ち味である“突破力”は、もっと前目で活かしたい。
台所事情はありますが中盤、小森田と喜名の併用も苦しい。翌朝の熊日朝刊の選手コメント。反省の弁もあれば、ちょっと首を傾げたくなる選手もいて…。
ひょっとしたら“彼”が理想としているサッカーと、今熊本がやろうとしているサッカーは少し違ってきているのかも知れない…。
JFLで格下相手にポゼッションを維持するのならともかく、今、非常に強いプレスのもとで、攻守の切り替えが早いこのリーグ(J1ならなおのこと)で、活かされるプレースタイルなのか。熊本の戦術変化(といってもそれは上を目指すための進歩ですが…)の前に、自らが活かされる道があるのか。
鳥栖の松本育夫氏が2年目、選手を大幅に入れ替え、あえて若手の無名選手を揃えたのも、そういうことだったのかも知れないな、と今思います。
それはある意味、個人のテクニックやフィジカルといった“能力”の問題ではありません。しかし、ここで求められるプレースタイルと言うもの、それは個々のチームの戦術、戦略以前に“J標準”とでも表現すべきような恐ろしく“速い”サッカーの枠組みにフィットできるかどうかという意味での“基本技能”なのかもしれません…。
誰か一人の傑出した才能に依存するサッカーではなく、誰かがタクトを振るサッカーでもなく、全員がチーム戦術の下に組織化され流動化するサッカー。いつしか、厳しいプレスと、全員守備、全員攻撃の流れのなかで、“トップ下”という特別な役割がなくなってしまったことはその象徴例でしょう。
熊本の得点源はまぎれもなく高橋ですが、彼は自身の活かされ方を知っている。だからプレーがとてもシンプル。厳しいプレスのなかで周りを使い、活かす。だからチャンスが訪れる。でも、周りはまだまだ、十分に彼のプレーのリズム、判断のスピードに合ってない。もっと点がとれる。そう思うのです。
いやはや、連続した受け入れがたい残念な結果に、少しネガティブになってしまいました。KKウィングに吹く風も秋の気配を感じ、無我夢中のJ2初年度も終盤戦を迎えます。この時期、来シーズンのために何を成すべきか、何を試すべきか、というこの第3クールで自然とそんな目線になってしまいました。
チームとして、常に“脱皮”が求められ、一戦一戦が“試される”。
水戸はこの勝利でJリーグ100勝目を達成。10年目で100勝ですから、1年で平均10勝ということです。
熊本が目指しているのはもちろん水戸ではなく、より上にあるわけですが、少なくともその刻んだ歴史と積んだ経験だけは追いつけない。勝率より何より、100勝達成にはそんな重みが感じられました。
敗戦に気持ちは落ち込みます。このトンネルは長くはないことを願いますが、今日のゲーム、誰の目にもはっきりと見えたものがあるはずです。現実を受け止め、もっと先を考えながら走ることが大事だなと痛感しました。
2008.09.01
大敗。甲府戦
8月30日(土) 2008 J2リーグ戦 第33節
熊本 1 - 5 甲府 (18:33/山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場/8,556人)
得点者:04' マラニョン(甲府)、37' 大西容平(甲府)、44' サーレス(甲府)、51' サーレス(甲府)、71' 羽地登志晃(甲府)、89' 斉藤紀由(熊本)
大敗。一矢報いるも、ある意味木っ端微塵の内容でしたね。
開幕当初は調子の上がらなかった甲府。特に深刻な決定力不足を補うために、ちょうど前回対戦の第26節、新外国人マラニョンとサーレスを入れて我が熊本に快勝。そこから徐々に上向いてきました。
一方の熊本も、この敗戦を踏まえてシステムを4−1−4−1に変更。指揮官いわく「甲府にされて嫌だったことを相手に試す」というシステム変更。そこからは湘南に1敗するものの引き分けを含めて負けなしという好成績を収めてきました。
その4−1−4−1の本家本元との対戦。どの程度通用するのか、しないのか。いやがうえにも力の入る試合でした。が…。
立ち上がり早々、大西のクロスにマラニョンが左サイドから走りこんで先制点。大西のクロスの時点も、マラニョンへの走りこみへのマークもDFの甘さによるものでした。
その後は、熊本も少し好機を演出しましたが、同点には至らず。逆に吉井のゆるいバックパスを奪われ左サイドのマラニョンに出されると、追いかけた宮崎が痛恨のバックチャージで一発退場。しかも、このFKを大西に見事に決められます。これでこの試合の流れが全て決まってしまいました。もちろん一人少なくなったくらいで試合を諦めるわけにはいかないのですが、前半終了間際にCKからサーレスのヘッドで3点目を決められてしまいます。これもPA内で上村が競っていませんでした。
DFのマークの甘さばかりを責められません。この日は中盤のチェックも全く後手後手。「ある程度引いてボールを奪う」というこの日の戦術が、甲府のアタッキングゾーンと合致して、中盤の底の喜名のあたりでいいように数的優位を作られてしまいました。「プレスに行くかどうかが曖昧だった。ロングボールを使って相手のラインを下げさせようとしたが、意思統一が出来ていなかった。」と試合後、喜名がコメントするように混乱してしまいました。
後半も追加点を上げられるわけですが、斉藤が入ったあたりから熊本のアタッキングゾーンも高めに移行して、敵ゴールまでの距離が縮まり、ショートカウンターが出来るようになりましたね。最後に高橋からのスルーパスで斉藤のJ初ゴール。一矢報いる形となりました。
この敗戦。われわれも正直な気持ち、ショックを受けています。これまでも、厳しい敗戦にがっかりすることはありましたが、これほど気持ちの持って行き場のないことは初めてでした。「何もできなかった」「浮き足立ってしまった」というような試合後のコメントを見るにつけても、整理できない結果に、下を向くしかないのかと。
それだけに、まず高橋・斉藤のこの1点。試合の大勢は決してしまった後も、全く攻撃の手を緩めない甲府に対して、自分たちのゲームで押し返して奪った1点。最後の意地とプライドをつなぎとめたような。
しかし、この一方的なゲーム。どこかで見たような…。二点目の決定機をことごとく外してくれた福岡。試合開始早々、先制の決定機を外してくれた大阪。この引き分けの二試合、相手のフィニッシュの精度不足、あるいは幸運に恵まれた結果でもあることを思い出し、受け止める必要があるでしょう。この二試合の幸運の感覚がどこかで“ファーストディフェンス”や“グループでのチェック”を緩慢にしていたのではないでしょうか。トータルで見れば、ラッキーとアンラッキーのバランスは、必ず公平にもたらされるものなのだということも思い知らされます。
前節、大阪戦のエントリーで「上位チームにいい試合をしているという満足感」「勝ちきれないという悔しさ」「われわれにもごく自然な“欲”が出てきた」と書いていますが。…欲をかくにはまだ早い、われわれもまた幸運に恵まれたことを見失っていた、ということですね。
4−1−4−1の本家本元との対戦。どの程度通用するのか、しないのか。と言いましたが、同じシステムを謳っていても、「されて嫌だったこと」という意味では全く別次元のものでした。それを可能にするための技術とベースになるハードワークに大きな差があったということ。それが高橋のいう「止めて、蹴る基本技術が全然違う」という表現になるのでしょう。
なかなか受け入れがたい敗戦ですが、やはり徹底的に分析し、修正するかしかない、そう思います。
熊本 1 - 5 甲府 (18:33/山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場/8,556人)
得点者:04' マラニョン(甲府)、37' 大西容平(甲府)、44' サーレス(甲府)、51' サーレス(甲府)、71' 羽地登志晃(甲府)、89' 斉藤紀由(熊本)
大敗。一矢報いるも、ある意味木っ端微塵の内容でしたね。
開幕当初は調子の上がらなかった甲府。特に深刻な決定力不足を補うために、ちょうど前回対戦の第26節、新外国人マラニョンとサーレスを入れて我が熊本に快勝。そこから徐々に上向いてきました。
一方の熊本も、この敗戦を踏まえてシステムを4−1−4−1に変更。指揮官いわく「甲府にされて嫌だったことを相手に試す」というシステム変更。そこからは湘南に1敗するものの引き分けを含めて負けなしという好成績を収めてきました。
その4−1−4−1の本家本元との対戦。どの程度通用するのか、しないのか。いやがうえにも力の入る試合でした。が…。
甲府 (先発フォーメーション)
| 15サーレス | |||
| 36マラニョン | 9大西 | ||
| 7石原 | 10藤田 | ||
| 31林 | |||
| 33輪湖 | 32杉山 | ||
| 4山本 | 2秋本 | ||
| 22桜井 | |||
その後は、熊本も少し好機を演出しましたが、同点には至らず。逆に吉井のゆるいバックパスを奪われ左サイドのマラニョンに出されると、追いかけた宮崎が痛恨のバックチャージで一発退場。しかも、このFKを大西に見事に決められます。これでこの試合の流れが全て決まってしまいました。もちろん一人少なくなったくらいで試合を諦めるわけにはいかないのですが、前半終了間際にCKからサーレスのヘッドで3点目を決められてしまいます。これもPA内で上村が競っていませんでした。
DFのマークの甘さばかりを責められません。この日は中盤のチェックも全く後手後手。「ある程度引いてボールを奪う」というこの日の戦術が、甲府のアタッキングゾーンと合致して、中盤の底の喜名のあたりでいいように数的優位を作られてしまいました。「プレスに行くかどうかが曖昧だった。ロングボールを使って相手のラインを下げさせようとしたが、意思統一が出来ていなかった。」と試合後、喜名がコメントするように混乱してしまいました。
後半も追加点を上げられるわけですが、斉藤が入ったあたりから熊本のアタッキングゾーンも高めに移行して、敵ゴールまでの距離が縮まり、ショートカウンターが出来るようになりましたね。最後に高橋からのスルーパスで斉藤のJ初ゴール。一矢報いる形となりました。
この敗戦。われわれも正直な気持ち、ショックを受けています。これまでも、厳しい敗戦にがっかりすることはありましたが、これほど気持ちの持って行き場のないことは初めてでした。「何もできなかった」「浮き足立ってしまった」というような試合後のコメントを見るにつけても、整理できない結果に、下を向くしかないのかと。
それだけに、まず高橋・斉藤のこの1点。試合の大勢は決してしまった後も、全く攻撃の手を緩めない甲府に対して、自分たちのゲームで押し返して奪った1点。最後の意地とプライドをつなぎとめたような。
しかし、この一方的なゲーム。どこかで見たような…。二点目の決定機をことごとく外してくれた福岡。試合開始早々、先制の決定機を外してくれた大阪。この引き分けの二試合、相手のフィニッシュの精度不足、あるいは幸運に恵まれた結果でもあることを思い出し、受け止める必要があるでしょう。この二試合の幸運の感覚がどこかで“ファーストディフェンス”や“グループでのチェック”を緩慢にしていたのではないでしょうか。トータルで見れば、ラッキーとアンラッキーのバランスは、必ず公平にもたらされるものなのだということも思い知らされます。
前節、大阪戦のエントリーで「上位チームにいい試合をしているという満足感」「勝ちきれないという悔しさ」「われわれにもごく自然な“欲”が出てきた」と書いていますが。…欲をかくにはまだ早い、われわれもまた幸運に恵まれたことを見失っていた、ということですね。
4−1−4−1の本家本元との対戦。どの程度通用するのか、しないのか。と言いましたが、同じシステムを謳っていても、「されて嫌だったこと」という意味では全く別次元のものでした。それを可能にするための技術とベースになるハードワークに大きな差があったということ。それが高橋のいう「止めて、蹴る基本技術が全然違う」という表現になるのでしょう。
なかなか受け入れがたい敗戦ですが、やはり徹底的に分析し、修正するかしかない、そう思います。
2008.08.26
引き分けの3連戦。C大阪戦
8月25日(月) 2008 J2リーグ戦 第32節
熊本 2 - 2 C大阪 (19:03/熊本/4,364人)
得点者:14' 木島良輔(熊本)、52' 乾貴士(C大阪)、54' 香川真司(C大阪)、64' 高橋泰(熊本)
先週、長年行きつけの床屋のイサムちゃんが「今度のC大阪戦行かれますか?チケットありますよ」と言います。彼によれば県内の理美容組合のお店、スタッフに招待券が贈られたとのこと。こちらはもちろん「年間チケット」の身なので丁重にお断りしましたが、月曜が休みの業界、日ごろは観戦に行けないのでとの計らいなのでしょうが、面白い試みだと思いました。他にも業界によって平日が休日のところがありますしね。
それが奏功したのかは知りませんが、変則開催の今節、夏休みとはいえ平日の夜に4000人以上の来場者は、正直すごいなと感動しました。
さて、第3クールに入っての第2戦目の相手は、これまで1勝1敗のC大阪戦。初戦はアウェーで惜敗。第2戦はホームで歓喜の逆転勝利でしたね。ここにきて大阪はやっと怪我から主力が復帰してきてメンバーも大幅に変わっているとか、前節の試合は観ていないのですが、戦前、池谷監督も「前からプレッシャーをかけに来ているし、過去2戦とは違った勢いがある」とスカウティングしていました。
誰に言わせてもC大阪にとっては「昇格のためにはひとつも落とせない第3クール」なのでしょうが、こちら側熊本の選手たちにとっても、来期を見据え「チーム内の生き残りを賭けた第3クール」と言えるのではないでしょうか。池谷監督兼GM。背負う責任も重く、これからの試合、選手が見せるパフォーマンスの判断にも厳しさが増してくるでしょう。選手も必死です。
開始早々、大阪に決定機を作られます。左サイド香川からのセンタリングがポストに当たってPA内のカイオに。カイオのシュートはDFに当たってなんとかクリア。その後も、大阪が怒涛の攻め。やはり前2戦とは勢いが違っていました。
ところが熊本も前回対戦とは大きく“戦術”を変えています。中盤の底に喜名を配した今日の4−1−4−1のシステムは、そんな大阪の攻撃に臆することなくサイドを起点にしながら前へ前へと進んでいきます。
14分、右サイド奥で中山が粘って香川と対峙しましたが奪われる。しかし、香川の自陣PA内でのパスを奪ったのは右に流れていた木島。これを切り返して左足でゴール左隅にねじ込みました。先制は対前回対戦で2得点の、またしてもこの男。
戦前の熊日の予想フォーメーションには、今回もこの男の名前はありませんでした。足に古傷を抱える木島。恐らく直前の練習まで別メニューなのでしょう。本来、選手のなかからベストの状態の人間を選ぶのが先発のセオリーだと思いますが、監督の“賭け”に今回も結果で応えた木島。何かを“持っている”。そんな感じがします。
北京帰りの香川。一瞬のプレーに軽さ、甘さが出た痛恨のミス。
しかし、そこは大阪、ちょっと驚いた感はあったものの焦りの気配はありませんでした。なにしろジェルマーノ、アレーの両ボランチががっちり中盤を支配し、香川、乾の若きタレント(才能)がサイドを突破して、幾度も好機を演出します。本当に幾度も。ところが幸いなことに最後のフィニッシュを決めきれない。まるで前節の福岡のように…。試合後レヴィークルピ監督をして「今日足りなかったのは技術的な部分、つまりフィニッシュの精度」と言わしめました。ただ一方で、MF山本は「やらせている感じでいけた」とも表現していますから、ある程度シュートコースをコントロールして撃たせていたといえるのかも知れません。結果には必ず原因があるわけですから。
ただし、このままでは終わらないだろうという後半の予兆は確かにありました。
後半開始前、熊本の選手が出てくるはるか以前にピッチに戻り円陣を組んでいた大阪の選手たち。「命を賭けて戦え」。ハーフタイムでクルピ監督はそう選手たちに檄を飛ばしたそうです。
加速するパス回しに、熊本が翻弄されます。後半開始から10分あまりで逆転。いずれも香川、乾が絡んだパス交換からでした。華麗なワンツーで、熊本の最終ラインを切り裂きます。これぞC大阪の本領というべきサッカー…。
熊本としては、一歩も足が出ないという感じ。全員がボールウォッチャーになってしまうような。おそらく、こんな縦のパスの速さ、縦の走り込みで目の前を切り裂くチームはこれまでのカテゴリーを通じて対戦したことはなかったでしょう。個々のプレーのスピードもそうですが、リスタート、トラップ、そして判断。すべてが速い。ゲームメークのテンポ自体が恐ろしく速い。
思うに、前半から熊本の最終ラインは市村が前目に位置し、チャ・ジホは残り目でした。おそらくは大阪左サイドの香川封じの狙いがあったのかも知れません。ボランチ陣もやや左サイドのケアが優先するような位置取り。いくら運動量を誇るチャにとっても、そのカバーエリアは縦にも横にも広すぎた感があります。
混乱する守備。その後も訪れるピンチ、いや自らのミスで招くリスクに、スタンドのフラストレーションの度合いは高まります。それを鎮めたのはやはりエース高橋でした。
左サイドで得たFK。山本のキックは大阪GK相澤の手をかすめ、ファーサイドの高橋の頭にどんぴしゃり。GKの手にも及ぶような高い打点。得点ランキング一位広島の佐藤に並ぶ会心の一撃でした。
C大阪の勢いに冷水を浴びせるような同点弾。淡々とセンターエリアに戻る高橋を見つめる敵選手の目。その誰しもが、「何なんだ。この男は…」と呟いているようで。われわれにとっては心地よい一瞬。
そこからはベンチワークが忙しくなります。大阪はカイオに代えて古橋。熊本は、限界に達した木島を諦め宮崎を左サイドに入れて4−4−2に。乾と香川を封じ込める戦術。バタついていたゲーム運びがやや落ち着きを取り戻します。34分には中山を町田に代えて4−2−3−1に。トップの高橋をひとり敵陣に残して中盤を厚くしたわけですが、チャンスと見れば右から長い距離を町田に走らせることもイメージされていたのでしょう。残念ながら、最後までそのチャンスは訪れませんでしたが…。
3試合連続でのドロー。いずれもJ1経験チームに対して。この結果を良しとするのかどうかは今や評価が分かれるところです。
対C大阪に関して総括すれば、第1戦は体制を整え始めた時期に実力不足で惜敗し、第2戦は動きの悪い敵を叩く事ができてのこの第3戦。メンバーも入れ替わり、モチベーションも高く、トップコンディションに近い相手にようやく引き分けたというところでしょうか。
前節、湘南にしてやられた同点劇を福岡が再現したと書きましたが、今度はそのドラマを熊本が演じました。しかし反面、福岡のサポーターもC大阪も、自チームのふがいなさに「熊本だからドローで済んだが…」と思っているのも事実です。
上位チームにいい試合をしているという満足感と、一方で「勝ちきれない」という悔しさで、今は複雑な心境です。つい3ヶ月前なら、引き分けは勝ちに等しいと、文句なく喜んでいたところですが。まあ、それはそれで、第3クールに至ってチームの成長とともに、われわれにもごく自然な“欲”が出てきたと言うことでしょう。
それはまるで、ようやく古巣との対戦を迎えることができた福王が、おそらくこの試合で自身の“因縁”を断ち切れたであろうことにも似て。
ロアッソ熊本が、単なる1年生のチャレンジャーから脱皮していく最中にある。その今に立ち会っているということの証なのかも知れません。
さて、次節は山本、市村が累積で欠場ですか?否、また新しい伏兵の登場が楽しみです。
熊本 2 - 2 C大阪 (19:03/熊本/4,364人)
得点者:14' 木島良輔(熊本)、52' 乾貴士(C大阪)、54' 香川真司(C大阪)、64' 高橋泰(熊本)
先週、長年行きつけの床屋のイサムちゃんが「今度のC大阪戦行かれますか?チケットありますよ」と言います。彼によれば県内の理美容組合のお店、スタッフに招待券が贈られたとのこと。こちらはもちろん「年間チケット」の身なので丁重にお断りしましたが、月曜が休みの業界、日ごろは観戦に行けないのでとの計らいなのでしょうが、面白い試みだと思いました。他にも業界によって平日が休日のところがありますしね。
それが奏功したのかは知りませんが、変則開催の今節、夏休みとはいえ平日の夜に4000人以上の来場者は、正直すごいなと感動しました。
さて、第3クールに入っての第2戦目の相手は、これまで1勝1敗のC大阪戦。初戦はアウェーで惜敗。第2戦はホームで歓喜の逆転勝利でしたね。ここにきて大阪はやっと怪我から主力が復帰してきてメンバーも大幅に変わっているとか、前節の試合は観ていないのですが、戦前、池谷監督も「前からプレッシャーをかけに来ているし、過去2戦とは違った勢いがある」とスカウティングしていました。
誰に言わせてもC大阪にとっては「昇格のためにはひとつも落とせない第3クール」なのでしょうが、こちら側熊本の選手たちにとっても、来期を見据え「チーム内の生き残りを賭けた第3クール」と言えるのではないでしょうか。池谷監督兼GM。背負う責任も重く、これからの試合、選手が見せるパフォーマンスの判断にも厳しさが増してくるでしょう。選手も必死です。
C大阪 (先発フォーメーション)
| 33カイオ | 15小松 | ||
| 26香川 | 31乾 | ||
| 19ジェルマーノ | 7アレー | ||
| 34平島 | 13柳沢 | ||
| 14江添 | 5前田 | ||
| 1相澤 | |||
ところが熊本も前回対戦とは大きく“戦術”を変えています。中盤の底に喜名を配した今日の4−1−4−1のシステムは、そんな大阪の攻撃に臆することなくサイドを起点にしながら前へ前へと進んでいきます。
14分、右サイド奥で中山が粘って香川と対峙しましたが奪われる。しかし、香川の自陣PA内でのパスを奪ったのは右に流れていた木島。これを切り返して左足でゴール左隅にねじ込みました。先制は対前回対戦で2得点の、またしてもこの男。
戦前の熊日の予想フォーメーションには、今回もこの男の名前はありませんでした。足に古傷を抱える木島。恐らく直前の練習まで別メニューなのでしょう。本来、選手のなかからベストの状態の人間を選ぶのが先発のセオリーだと思いますが、監督の“賭け”に今回も結果で応えた木島。何かを“持っている”。そんな感じがします。
北京帰りの香川。一瞬のプレーに軽さ、甘さが出た痛恨のミス。
しかし、そこは大阪、ちょっと驚いた感はあったものの焦りの気配はありませんでした。なにしろジェルマーノ、アレーの両ボランチががっちり中盤を支配し、香川、乾の若きタレント(才能)がサイドを突破して、幾度も好機を演出します。本当に幾度も。ところが幸いなことに最後のフィニッシュを決めきれない。まるで前節の福岡のように…。試合後レヴィークルピ監督をして「今日足りなかったのは技術的な部分、つまりフィニッシュの精度」と言わしめました。ただ一方で、MF山本は「やらせている感じでいけた」とも表現していますから、ある程度シュートコースをコントロールして撃たせていたといえるのかも知れません。結果には必ず原因があるわけですから。
ただし、このままでは終わらないだろうという後半の予兆は確かにありました。
後半開始前、熊本の選手が出てくるはるか以前にピッチに戻り円陣を組んでいた大阪の選手たち。「命を賭けて戦え」。ハーフタイムでクルピ監督はそう選手たちに檄を飛ばしたそうです。
加速するパス回しに、熊本が翻弄されます。後半開始から10分あまりで逆転。いずれも香川、乾が絡んだパス交換からでした。華麗なワンツーで、熊本の最終ラインを切り裂きます。これぞC大阪の本領というべきサッカー…。
熊本としては、一歩も足が出ないという感じ。全員がボールウォッチャーになってしまうような。おそらく、こんな縦のパスの速さ、縦の走り込みで目の前を切り裂くチームはこれまでのカテゴリーを通じて対戦したことはなかったでしょう。個々のプレーのスピードもそうですが、リスタート、トラップ、そして判断。すべてが速い。ゲームメークのテンポ自体が恐ろしく速い。
思うに、前半から熊本の最終ラインは市村が前目に位置し、チャ・ジホは残り目でした。おそらくは大阪左サイドの香川封じの狙いがあったのかも知れません。ボランチ陣もやや左サイドのケアが優先するような位置取り。いくら運動量を誇るチャにとっても、そのカバーエリアは縦にも横にも広すぎた感があります。
混乱する守備。その後も訪れるピンチ、いや自らのミスで招くリスクに、スタンドのフラストレーションの度合いは高まります。それを鎮めたのはやはりエース高橋でした。
左サイドで得たFK。山本のキックは大阪GK相澤の手をかすめ、ファーサイドの高橋の頭にどんぴしゃり。GKの手にも及ぶような高い打点。得点ランキング一位広島の佐藤に並ぶ会心の一撃でした。
C大阪の勢いに冷水を浴びせるような同点弾。淡々とセンターエリアに戻る高橋を見つめる敵選手の目。その誰しもが、「何なんだ。この男は…」と呟いているようで。われわれにとっては心地よい一瞬。
そこからはベンチワークが忙しくなります。大阪はカイオに代えて古橋。熊本は、限界に達した木島を諦め宮崎を左サイドに入れて4−4−2に。乾と香川を封じ込める戦術。バタついていたゲーム運びがやや落ち着きを取り戻します。34分には中山を町田に代えて4−2−3−1に。トップの高橋をひとり敵陣に残して中盤を厚くしたわけですが、チャンスと見れば右から長い距離を町田に走らせることもイメージされていたのでしょう。残念ながら、最後までそのチャンスは訪れませんでしたが…。
3試合連続でのドロー。いずれもJ1経験チームに対して。この結果を良しとするのかどうかは今や評価が分かれるところです。
対C大阪に関して総括すれば、第1戦は体制を整え始めた時期に実力不足で惜敗し、第2戦は動きの悪い敵を叩く事ができてのこの第3戦。メンバーも入れ替わり、モチベーションも高く、トップコンディションに近い相手にようやく引き分けたというところでしょうか。
前節、湘南にしてやられた同点劇を福岡が再現したと書きましたが、今度はそのドラマを熊本が演じました。しかし反面、福岡のサポーターもC大阪も、自チームのふがいなさに「熊本だからドローで済んだが…」と思っているのも事実です。
上位チームにいい試合をしているという満足感と、一方で「勝ちきれない」という悔しさで、今は複雑な心境です。つい3ヶ月前なら、引き分けは勝ちに等しいと、文句なく喜んでいたところですが。まあ、それはそれで、第3クールに至ってチームの成長とともに、われわれにもごく自然な“欲”が出てきたと言うことでしょう。
それはまるで、ようやく古巣との対戦を迎えることができた福王が、おそらくこの試合で自身の“因縁”を断ち切れたであろうことにも似て。
ロアッソ熊本が、単なる1年生のチャレンジャーから脱皮していく最中にある。その今に立ち会っているということの証なのかも知れません。
さて、次節は山本、市村が累積で欠場ですか?否、また新しい伏兵の登場が楽しみです。
2008.08.17
五分。第3クール福岡戦
8月16日(土) 2008 J2リーグ戦 第31節
福岡 2 - 2 熊本 (19:03/レベスタ/9,076人)
得点者:8' 布部陽功(福岡)、83' 高橋泰(熊本)、85' 高橋泰(熊本)、86' 田中佑昌(福岡)
「勝点1を拾って負けなくて良かったという見方もできるし、逆に考えれば2を失ったという見方もできる」(J’sゴール)。試合後の高橋のコメントが全てを言い尽くしていました。
両チームにとって2点目の“重さ”が身にしみた試合と言えるのかも知れません。
九州地方を襲った豪雨で交通機関が麻痺したなかでレベスタにたどり着いた大勢の熊本サポーター。第3クールのスタートは、いきなり九州ダービー福岡との最終戦となりました。
これまで互いがアウェーで勝利し1勝1敗。この試合が決着戦とも言えました。
水前寺での前回対戦時は、苦しんでいる福岡に対し自らのミスから勝ち点を献上したような試合だった熊本ですが、あれから福岡は監督交代もあり布陣も変わってきている様子。篠田新監督に引き継がれたあと4試合負けなしと上昇気流にあるようです。
例えば前節横浜の都並監督など、戦前のコメントから察するにわれわれ熊本をスカウティングしていないのが見え見えだったんですが、この新進の監督は、前節が休みだったこともあってか熊本を充分に研究していたようです。
4−1−4−1の熊本の布陣は前節と全く同じメンバー。今節も序盤の入り方は悪くなかったですね。セカンドボールが拾えて、波状攻撃を仕掛けました。
しかし、対策を練っていたはずのマイクと黒部の高さにナイーブになるうちに、徐々に押し込まれることに。左サイドから回されタレイが溜めて、中央に上がってきた布部にミドルで撃たれました。ちょうど前節、横浜・山田に決められたような嫌な角度。
5月の対戦では、先制した福岡がその後慢心したかのように足が止ったのですが、今回は全く違いました。二週間のお盆休みの効果なのか、ここ二試合の対戦相手、徳島、横浜より明らかにコンディションがいい。目を見張るような早くて強いプレス。そして奪ったあとのサイドへの展開。それもうちの両サイドのかなり薄いところを使っていく。ロングボールの対処では宮崎が最終ラインに吸収され、山本と吉井との間の距離が空く、中山と木島が前を向けない。パスが読まれる、狙われる、奪われる。ミスがミスを呼ぶ。完全な悪循環…。
「中盤でうちがやりたかったことをやられた」(池谷監督)という展開になりました。
ところがその福岡。撃てども撃てども2点目が“遠い”。このことが試合終盤のあのドラマを生み出したわけです。あれだけのチャンス、どれか一本が決められていればゲームは完全に福岡のものになっていた。もちろんラッキーだけで凌げたわけではありませんが・・・
後半、宮崎に代えて喜名を投入。この喜名の落ち着いた守備と、「ロングボールを入れていこう」というハーフタイムの指示で、ようやく熊本も前を向き始め、DFラインも上げられるようになってきました。
28分には右CKからファーサイドの高橋がゴール。しかし、これは中央で潰れた中山のファールで取り消しに。
38分には柳楽が高橋を力ずくで倒しイエロー。敵陣中央のいい位置からFK。もちろんキッカーは高橋。福岡の選手もサポーターも先の対戦で、彼の無回転ロングシュートが脳裏を横切ったはず。当然、熊本側も全員…。
高橋のキックは福岡の壁の左側をよぎると、GKの目の前で“落ちて”ワンバンドでゴール左隅に突き刺さりました。期待を裏切らないエースの“仕事”。ゴール裏の歓喜はいかばかりか。残念ながらわれわれはまたしてもスカパー観戦。「九州ダービー男!高橋!」とアナウンサーが興奮して叫んでいます。
さらに2分後、今度は市村からのロングボールの処理を、前掛かりになった福岡のDFが誤り、高橋の足元へ。GKもDFもかわして落ち着いて追加点。広島の佐藤に次いでリーグ2位となる15得点目。一気に形勢逆転。
残り10分もない時間帯での勝ち越し点。誰もが勝利を手にしたと思いました。
しかしドラマはこれで終わりませんでした。「勝たせてあげられなかった」と池谷監督が反省するとおり、ベンチワークのミス。キックオフのリスタート時に“バタバタと”町田を交代で入れてしまい、左サイドの守備が整わず。田中へのチェックが遅れるところをミドルシュート。わずか1分後に同点に追いつかれてしまいました。選手も含めて、ベンチすらまだまだ未熟な「逃げ切り策」を露呈しました。
思えば交代で入って早々の田中に撃たれた位置、角度といい、全く一緒のところでした。
新九州ダービー。福岡との戦いは1勝1敗1分に終わり、“決着”は持ち越されました。試合後、倒れ込む熊本の選手たちたちからは「勝ちきれなかった」ことへの悔しさがにじみ出ていました。手からこぼれ落ちた勝ち点2。
福岡もまた、前節湘南に逆転から同点に持ち込まれた2−2の悔しい戦いを、今度は同じように自らが演じてみせました。最後に諦めない姿勢で手にした勝ち点1。
ただ、これまでだったら修正のないままに残念な結果に終わっていた感のする試合の流れ。それが今回のように90分も終盤になって怒濤のように試合が動く。見方によっては互いのミスだけが目立つ、ある意味凡戦と言われてもしょうがないのかも知れませんが、ずっとチームを見続けているわれわれにとっては、実に面白く、そして遙かに進歩した感じがするのが正直な感想です。
まだまだ先輩・福岡からライバルと呼ばれる立場にはありませんが、エース高橋が気を吐き、九州ダービーのこのカード、いい“因縁”が作れたのではないでしょうか。順位に関係なく“燃える”のがダービー。今節の終盤のようにお互いがボールを持つたびに大歓声がスタジアムに巻き起こる。そんな特別なゲームの雰囲気ができてくればと思います。
そして願わくば、スカパーのアナが言うように、これからの第3クール、熊本が“台風の目”になりますように。「あなどれない相手」。鳥栖や山形がそうだったように、そう思われるところから強くなっていくような気がします。
福岡 2 - 2 熊本 (19:03/レベスタ/9,076人)
得点者:8' 布部陽功(福岡)、83' 高橋泰(熊本)、85' 高橋泰(熊本)、86' 田中佑昌(福岡)
「勝点1を拾って負けなくて良かったという見方もできるし、逆に考えれば2を失ったという見方もできる」(J’sゴール)。試合後の高橋のコメントが全てを言い尽くしていました。
両チームにとって2点目の“重さ”が身にしみた試合と言えるのかも知れません。
九州地方を襲った豪雨で交通機関が麻痺したなかでレベスタにたどり着いた大勢の熊本サポーター。第3クールのスタートは、いきなり九州ダービー福岡との最終戦となりました。
これまで互いがアウェーで勝利し1勝1敗。この試合が決着戦とも言えました。
福岡 (先発フォーメーション)
| 20ハーフナーマイク | 9黒部 | ||
| 8タレイ | 7久藤 | ||
| 18鈴木惇 | 6布部 | ||
| 17中島 | 3山形 | ||
| 2宮本 | 13柳楽 | ||
| 1神山 | |||
例えば前節横浜の都並監督など、戦前のコメントから察するにわれわれ熊本をスカウティングしていないのが見え見えだったんですが、この新進の監督は、前節が休みだったこともあってか熊本を充分に研究していたようです。
4−1−4−1の熊本の布陣は前節と全く同じメンバー。今節も序盤の入り方は悪くなかったですね。セカンドボールが拾えて、波状攻撃を仕掛けました。
しかし、対策を練っていたはずのマイクと黒部の高さにナイーブになるうちに、徐々に押し込まれることに。左サイドから回されタレイが溜めて、中央に上がってきた布部にミドルで撃たれました。ちょうど前節、横浜・山田に決められたような嫌な角度。
5月の対戦では、先制した福岡がその後慢心したかのように足が止ったのですが、今回は全く違いました。二週間のお盆休みの効果なのか、ここ二試合の対戦相手、徳島、横浜より明らかにコンディションがいい。目を見張るような早くて強いプレス。そして奪ったあとのサイドへの展開。それもうちの両サイドのかなり薄いところを使っていく。ロングボールの対処では宮崎が最終ラインに吸収され、山本と吉井との間の距離が空く、中山と木島が前を向けない。パスが読まれる、狙われる、奪われる。ミスがミスを呼ぶ。完全な悪循環…。
「中盤でうちがやりたかったことをやられた」(池谷監督)という展開になりました。
ところがその福岡。撃てども撃てども2点目が“遠い”。このことが試合終盤のあのドラマを生み出したわけです。あれだけのチャンス、どれか一本が決められていればゲームは完全に福岡のものになっていた。もちろんラッキーだけで凌げたわけではありませんが・・・
後半、宮崎に代えて喜名を投入。この喜名の落ち着いた守備と、「ロングボールを入れていこう」というハーフタイムの指示で、ようやく熊本も前を向き始め、DFラインも上げられるようになってきました。
28分には右CKからファーサイドの高橋がゴール。しかし、これは中央で潰れた中山のファールで取り消しに。
38分には柳楽が高橋を力ずくで倒しイエロー。敵陣中央のいい位置からFK。もちろんキッカーは高橋。福岡の選手もサポーターも先の対戦で、彼の無回転ロングシュートが脳裏を横切ったはず。当然、熊本側も全員…。
高橋のキックは福岡の壁の左側をよぎると、GKの目の前で“落ちて”ワンバンドでゴール左隅に突き刺さりました。期待を裏切らないエースの“仕事”。ゴール裏の歓喜はいかばかりか。残念ながらわれわれはまたしてもスカパー観戦。「九州ダービー男!高橋!」とアナウンサーが興奮して叫んでいます。
さらに2分後、今度は市村からのロングボールの処理を、前掛かりになった福岡のDFが誤り、高橋の足元へ。GKもDFもかわして落ち着いて追加点。広島の佐藤に次いでリーグ2位となる15得点目。一気に形勢逆転。
残り10分もない時間帯での勝ち越し点。誰もが勝利を手にしたと思いました。
しかしドラマはこれで終わりませんでした。「勝たせてあげられなかった」と池谷監督が反省するとおり、ベンチワークのミス。キックオフのリスタート時に“バタバタと”町田を交代で入れてしまい、左サイドの守備が整わず。田中へのチェックが遅れるところをミドルシュート。わずか1分後に同点に追いつかれてしまいました。選手も含めて、ベンチすらまだまだ未熟な「逃げ切り策」を露呈しました。
思えば交代で入って早々の田中に撃たれた位置、角度といい、全く一緒のところでした。
新九州ダービー。福岡との戦いは1勝1敗1分に終わり、“決着”は持ち越されました。試合後、倒れ込む熊本の選手たちたちからは「勝ちきれなかった」ことへの悔しさがにじみ出ていました。手からこぼれ落ちた勝ち点2。
福岡もまた、前節湘南に逆転から同点に持ち込まれた2−2の悔しい戦いを、今度は同じように自らが演じてみせました。最後に諦めない姿勢で手にした勝ち点1。
ただ、これまでだったら修正のないままに残念な結果に終わっていた感のする試合の流れ。それが今回のように90分も終盤になって怒濤のように試合が動く。見方によっては互いのミスだけが目立つ、ある意味凡戦と言われてもしょうがないのかも知れませんが、ずっとチームを見続けているわれわれにとっては、実に面白く、そして遙かに進歩した感じがするのが正直な感想です。
まだまだ先輩・福岡からライバルと呼ばれる立場にはありませんが、エース高橋が気を吐き、九州ダービーのこのカード、いい“因縁”が作れたのではないでしょうか。順位に関係なく“燃える”のがダービー。今節の終盤のようにお互いがボールを持つたびに大歓声がスタジアムに巻き起こる。そんな特別なゲームの雰囲気ができてくればと思います。
そして願わくば、スカパーのアナが言うように、これからの第3クール、熊本が“台風の目”になりますように。「あなどれない相手」。鳥栖や山形がそうだったように、そう思われるところから強くなっていくような気がします。
2008.08.13
池谷監督、GM兼任へ
池谷監督のGM兼任の人事が発表されました。
意味合いとしては岡社長のコメント「池谷監督にはこれまでもGM的な仕事をしてもらってきたが、正式に位置づけることで動きやすくした」(熊日朝刊)の通り「きちんと位置づけた」ということだろうと思います。
感想としては、ごく自然な人事ということでしょうか。他に誰かを連れてくることのリスク(能力面、合う合わない等…)や、今さらですが財政面の制約など、他の選択肢は現段階では現実的とは思えません。
そしてもうひとつ。これが、最終型ということではないだろうということです。以前、監督解任論が喧しい時期のエントリーで、われわれは「サッカーを知るもの」「監督を評価できるGMの役割」が不在の状態で監督交代を軽々に論じるべきではないこと。またAC熊本はいまだ「組織的に発展途上」にある、と書きました。
この状況は基本的に変わっていません。というより、まだまだ組織機能的には未分化の状態が続くということです。チームとして成熟し監督とGMが役割を分けて分担できるのはまだまだ先ということです。
しかし、このことは逆に発展途上の今のチームに大きな安定感をもたらしていることも見逃せないところです。最初のシーズンとは言え、なかなか結果が伴わない状態でも、われわれの救いは“チーム”が一貫していること。良い意味で変わらないこと。“安定”というのも人事の要諦ですね。
また、これもおぼろげながらの方向性ですが、松本育夫氏の鳥栖、植木繁晴氏の草津といった地方球団の発展モデルのパターンを踏襲する動きと見てもいいのかと。もちろん、かなり個性の強い指導者をベースにしたこの2チームとは違った熊本モデル。これからどう変化していくのか興味深いところです。
最初に“ごく自然な人事”と書きました。われわれは、今回の人事の一番のポイントは、その内容より“なぜ今?”というところではないかと思っています。シーズン途中、第二クールを終えたばかりのこのタイミング。池谷監督は「J1昇格という次の目標に向けた体制をつくっていきたい」とコメントしています。まさに“次”。つまり第三クールにかけて、“来シーズン”に向けた取り組みが同時に動き出したということだろうと思います。
監督とGMの権限、チームとフロントを兼ねるような大きな権限。“集中しすぎる”ということも一方で懸念されます。当然ですが、そこに立つ人間の資質や覚悟が問われるところです。ある意味で“われわれの夢”をより一層池谷氏に託すわけです。しっかりと見守っていかねばと思います。
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意味合いとしては岡社長のコメント「池谷監督にはこれまでもGM的な仕事をしてもらってきたが、正式に位置づけることで動きやすくした」(熊日朝刊)の通り「きちんと位置づけた」ということだろうと思います。
感想としては、ごく自然な人事ということでしょうか。他に誰かを連れてくることのリスク(能力面、合う合わない等…)や、今さらですが財政面の制約など、他の選択肢は現段階では現実的とは思えません。
そしてもうひとつ。これが、最終型ということではないだろうということです。以前、監督解任論が喧しい時期のエントリーで、われわれは「サッカーを知るもの」「監督を評価できるGMの役割」が不在の状態で監督交代を軽々に論じるべきではないこと。またAC熊本はいまだ「組織的に発展途上」にある、と書きました。
この状況は基本的に変わっていません。というより、まだまだ組織機能的には未分化の状態が続くということです。チームとして成熟し監督とGMが役割を分けて分担できるのはまだまだ先ということです。
しかし、このことは逆に発展途上の今のチームに大きな安定感をもたらしていることも見逃せないところです。最初のシーズンとは言え、なかなか結果が伴わない状態でも、われわれの救いは“チーム”が一貫していること。良い意味で変わらないこと。“安定”というのも人事の要諦ですね。
また、これもおぼろげながらの方向性ですが、松本育夫氏の鳥栖、植木繁晴氏の草津といった地方球団の発展モデルのパターンを踏襲する動きと見てもいいのかと。もちろん、かなり個性の強い指導者をベースにしたこの2チームとは違った熊本モデル。これからどう変化していくのか興味深いところです。
最初に“ごく自然な人事”と書きました。われわれは、今回の人事の一番のポイントは、その内容より“なぜ今?”というところではないかと思っています。シーズン途中、第二クールを終えたばかりのこのタイミング。池谷監督は「J1昇格という次の目標に向けた体制をつくっていきたい」とコメントしています。まさに“次”。つまり第三クールにかけて、“来シーズン”に向けた取り組みが同時に動き出したということだろうと思います。
監督とGMの権限、チームとフロントを兼ねるような大きな権限。“集中しすぎる”ということも一方で懸念されます。当然ですが、そこに立つ人間の資質や覚悟が問われるところです。ある意味で“われわれの夢”をより一層池谷氏に託すわけです。しっかりと見守っていかねばと思います。
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